【ケアマネ・ご家族向け】認知機能評価「HDS-R」の解釈方法

HDS-Rとは?

HDS-Rの正式な呼び名は改定長谷川式簡易知能評価スケールと言って、日本で開発された認知機能評価になります。医療・介護現場では「ハセガワ」と呼ばれたりします。

患者(利用者)さんの認知機能を評価するうえで、誰でも簡単に素早く行うことが出来る為、日本の医療・介護現場で良く使用されている評価方法になります。

因みに、HDS-Rは日本国内を中心に使用されていますが、世界ではMMSE(ミニメンタルステート)という評価方法が一般的に使用されています。

引用文献:厚生労働省

現状のHDS-Rの解釈方法

入院中や退院時のカンファレンスで「ハセガワは〇〇点です」なんかを聞くことがありませんか?

HDS-R結果の解釈は「認知症か認知症でないか?」だけで利用されていることが多いようです。もう少し詳しく説明すると、30点満点中20点以下であれば認知症、21点以上であれば非認知症の可能性が指摘されます。

でもこれだけって、すごく勿体ないんです…。実は、項目ごとの得点状況によって、より細かな認知機能の状態を知ることができるんです!

HDS-Rの項目別解釈方法

HDS-Rは1~9までの問題でつくられています。これから順番に説明していきます。ページ冒頭のHDS-R用紙も参考にしながら見てみて下さい。

1.お歳はいくつですか?

「見当識」の評価を行っています。

☞見当識とは、自分が置かれた状況を把握する能力を指します。主には意識障害の指標として利用されます。

2.今日は何年の何月ですか?何曜日ですか?

日時に関する見当識の評価を行っています。

日時の見当識障害が起きると、服薬時間を間違えたり、約束の時間を間違えるなど、日常生活でのトラブルが目立つようになります。

3.私達が今いるところはどこですか?

場所に関する見当識の評価を行っています。1,2の年齢や時間の見当識障害と比べて、場所の見当識障害がみられる場合は、より症状が進行している可能性が考えられます。

私達でも、曜日を間違えたりすることはありますが、今いる場所を間違えることはありませんよね?つまり、より周囲の環境と自身との関係性が希薄になっているとも言えます。

☞見当識障害は認知症の方では、物忘れに次いで多くみられる症状です。認知症の初期より表れることが多い為、認知症の兆候を早い段階でキャッチする重要な項目です。

4.これから言う3つの言葉を言ってみて下さい。あとでまた聞きますのでよく覚えておいて下さい。

短期記憶の評価を行っています(即時再生)。短期記憶とは数秒~数分のごく短い時間で記憶を保持する能力を指します。長期記憶と比べると、影響を受けやすい(障害が出やすい)と言えます。

短期記憶障害がある場合、辻褄の合わない言動や取り繕う言動などが増えてきます。結果、日常生活を送るうえでも大きな問題になっている場合があります。

☞記憶を時間軸で分けると「感覚記憶ー短期記憶ー長期記憶」に分類することができます。 ※分類方法や用語に関しては様々な方法が存在しています。

5.100から7を順番に引いてください。

ワーキングメモリの評価を行っています。

ワーキングメモリに障害が起きると、効率の悪い動作(判断)など全般的にチグハグな印象を受ける行動が目立つようになります。

☞ワーキングメモリは前頭前野を中心に存在する高度な情報処理を行う機能です。詳しく説明すると、身の回りに起こる様々な問題に対して、限られた注意機能を何処にどれだけ振り向けるのかを、瞬時に判断・実施する能力と言われています。

☞「100-7」と比べて「93-7」のような繰り下がりの計算場面では、よりワーキングメモリが求められます。結果、障害が露呈しやすい課題とも言えます。

6.私がこれからいう数字を逆から言ってください。

別名、逆唱課題と言われています。提示された数字を覚えておくための短期記憶、数字を反対から再生する為のワーキングメモリの評価を行っています。

7.先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみて下さい。

一定時間の記憶保持・再生能力である、遅延再生の評価を行っています。日常生活を送るうえで、欠かせない能力になります。その為、障害を受けると生活に大きな支障が出ることもあります。

☞ 認知症の場合は遅延再生から問題が表われる場合が多いと言われます。

8.これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言って下さい。

目で見た物を記憶する(視覚性記憶能力)と、それを即時再生する能力の評価を行っています。

人は8割以上を視覚から情報収集していると言われています。その為、視覚性記憶障害の影響は生活全般に及ぶと言えます。

☞記憶手段による分類⇒視覚性記憶(目で見て記憶)と言語性記憶(耳で聞いて記憶)に分けることができます。

9.知っている野菜の名前をできるだけ多く言って下さい。

語想起(ごそうき)という、記憶された言葉を取り出す前頭葉機能の評価を行っています。

覚えたことが言葉に出にくいなどが見られます。一見、記憶障害のようにみえますが、ヒント(cue再生)があれば成績が急上昇する特徴があります。

前頭葉障害が中心の場合、意識障害・見当識障害・注意障害に加えて、感情の障害(怒りっぽい・無関心)など特徴的な症状が表われることがあります。

☞記憶のメカニズムは、記銘(記憶の取り込み)、保持(記憶を保つ)、再生(記憶の取り出し)に分けることができます。

HDS-Rの注意点

  1. HDS-Rの結果だけで認知症診断は行わない
  2. 画像所見や生活状況など総合的な所見にて医師が診断する
  3. 難聴や失語症などコミュニケーション障害がある場合の使用は不適切
  4. 相手が感情を損ねる恐れがあるため安易に行わない

HDS-Rのまとめ

いかがでしたか?同じHDS-Rの点数であっても、状況が全く違う可能性があることを、お分かり頂けたのではないでしょうか?

苦手な項目をリハビリする、または避けるようにする。得意な項目を中心にリハビリや生活を組み立てるなど、個々の状況に応じたオーダーメードの対応が重要となります。

 


当グループでは認知機能評価やプログラムを行うことができる作業療法士や言語聴覚士が在籍しています。お気軽にお問い合わせ下さい。お問い合わせはこちらから

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